消費者庁は2026年10月28日(水)、注文住宅を手がける飯田グループの4社に、景品表示法に基づく課徴金納付命令を出しました。対象は住宅情報館、一建設、飯田産業、アーネストワンです。課徴金は4社合計で4億4,116万円です。
問題になったのは、チラシやウェブサイトに載せた「顧客満足度No.1」「3冠達成」の表示です。調査は実際の利用者に聞いたものではなく、ウェブサイトの印象を問うものでした。4社は2027年5月31日(月)までに納付しなければなりません。
課徴金は4社で4億4,116万円|売上の3%
課徴金は、違反した表示の期間中の売上額に3%を掛けて決まります。4社の売上額は合計約147億円で、その3%が約4.4億円です。
| 会社 | 課徴金(売上額) |
|---|---|
| 住宅情報館 | 1億6,703万円(約55.7億円) |
| 一建設 | 1億2,439万円(約41.5億円) |
| アーネストワン | 1億1,283万円(約37.6億円) |
| 飯田産業 | 3,691万円(約12.3億円) |
| 合計 | 4億4,116万円(約147.1億円) |
消費者庁の公表資料(2026年10月28日)の別表をもとに作成。売上額は億円未満を四捨五入しています。例:住宅情報館は55億6,790万8,615円×3%=1億6,703万円(1万円未満切り捨て)。
表示を出していた期間は、住宅情報館のチラシが約5週間、ほか3社のウェブサイトが約3か月(2023年6月7日〜9月中旬)です。それでも課徴金の対象期間は、表示をやめてから最長6か月後の取引まで延びます。短い広告でも、その後に結んだ契約の売上まで数えられる仕組みです。
違反の中身:利用者でない人にサイトの印象を聞いた
4社は「土地情報が豊富」「高品質なのにローコスト」「初めて住宅を建てる方におすすめ」の3項目で、飯田グループが第1位だと表示していました。表示には「日本トレンドリサーチ」の名前が添えられていました。
消費者庁によると、この調査には次の問題がありました。
- 回答者が利用した人か、知見のある人かを確かめていない
- 比べた相手は、調査会社が選んだ9社だけ
- 聞いたのは、各社のウェブサイトの印象
- 表示が、調査結果を正確に引用していない
行政不服審査会の答申によると、比べた9社は「注文住宅会社」とGoogleで検索して上位に出た会社でした。調査会社の報告書には「イメージ調査です。/利用有無は聴取しておりません。」と書かれていたといいます。
読む人は「家を建てた人に聞いて1位」と受け取ります。実際は、サイトを見た印象の比較でした。この差が、実際よりも著しく良いと見せる「優良誤認」にあたると判断されました。
課徴金は、表示に問題があると知らず、注意も怠っていなかった場合には課されません。消費者庁は、4社が調査の客観性や表示との対応を十分に確かめなかったと指摘しています。
経緯|措置命令から2年8か月で課徴金
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2022年2〜3月 | 住宅情報館がNo.1表示のチラシを配布(千葉・埼玉・群馬・東京) |
| 2023年6〜9月 | 一建設・飯田産業・アーネストワンのサイトに表示 |
| 2024年2月29日 | 飯田グループホールディングスと4社の計5社に措置命令 |
| 2024年5月20日 | 5社が措置命令を不服として審査請求 |
| 2025年11月11日 | 行政不服審査会が、請求の棄却を妥当と答申 |
| 2026年10月28日 | 4社に課徴金納付命令 |
措置命令は、表示をやめて再発を防ぐよう命じるものです。課徴金は、それとは別に売上に応じたお金を国に納めさせます。親会社の飯田グループホールディングスは措置命令を受けましたが、今回の課徴金の対象は子会社4社です。
審査請求の中で、5社は命令の後にも注文住宅の購入者へのアンケートを実施していました。行政不服審査会は、それでも措置命令は違法・不当ではないと判断しています。
今回の命令は広告の表示についての判断です。建てた住宅の品質や、結んだ契約の効力を判断したものではありません。
No.1表示を見たら|4つの点を確かめる
消費者庁が2024年9月にまとめた調査では、No.1表示を見たことがある人の約5割が、購入の判断に「かなり」「やや」影響すると答えました。高い買い物ほど、表示の中身を確かめる価値があります。
- 誰に聞いたか:建てた人か、サイトを見ただけの人か
- どこと比べたか:比べた会社の数と、選び方
- 何を聞いたか:満足度か、印象か、「おすすめしたいか」か
- いつの調査か:調査の時期と、表示している期間
注釈に書かれていない時は、営業の担当者に調査の資料を見せてもらえるか聞けます。No.1の根拠より、間取りや見積もり、保証の中身を同じ条件で比べる方が、判断の材料になります。
広告の根拠が問われた別の例は、布団乾燥機の「50度でダニ死滅」への措置命令の記事で読めます。
出典:消費者庁「注文住宅の建築請負に係る役務の提供事業者4社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」(2026年10月28日)/同 公表資料PDF/消費者庁「飯田グループホールディングス株式会社ほか4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2024年3月1日)/行政不服審査会 答申(2025年11月11日)/消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日)

