82年ぶりに戻った日章旗 ルソン島で戦死した祖父の旗、元米兵の息子から京丹後の孫へ

82年ぶりに戻った日章旗 ルソン島で戦死した祖父の旗、元米兵の息子から京丹後の孫へ

フィリピン・ルソン島で戦死した旧日本陸軍上等兵の日章旗が、約82年ぶりに京都府京丹後市の遺族へ戻りました。朝日新聞が2026年10月28日に報じました。旗を保管していたのは元米兵の息子で、受け取ったのは上等兵の孫です。

旗の右上には、和服を着た小さな人形が結びつけられていました。孫の岡垣良雄さん(56)は、祖母が着物の端切れで自分に似せて作ったお守りだと話しています。

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21歳で戦死した祖父の旗が|3月に孫のもとへ届いた

旗の持ち主は岡垣芳治さん(旧姓・石黒)です。1923年に鳥取県宇倍野村(現・鳥取市)で生まれ、建具職人として働きました。1943年に京都府間人町(現・京丹後市)で結婚し、翌年に娘が生まれました。

召集後は、松江市に兵営があった陸軍の歩兵第63連隊に所属しました。ルソン島に渡り、1945年4月に21歳で戦死しました。遺族には、米軍との夜間戦闘で頭に銃弾を受けたと伝えられています。

旗の道のり 持っていた人・機関
戦地から米国へ 元米兵(米海軍の艦艇LST619に乗務)
米国で保管 マサチューセッツ州に住む息子
返還の仲介 OBONソサエティ(米オレゴン州)
遺族の調査 厚生労働省→鳥取県(本籍地)→京都府
2026年3月に返還 京丹後市大宮町河辺の孫・良雄さん

旗は縦67cm、横76cmです。右端に岡垣さんの名前が大きく書かれ、日の丸のまわりに家族らの寄せ書きがあります。人形は縦13cmで、ひもで結ばれていました。召集の際に贈られたものとみられます。良雄さんは「ひもが切れることなく、残っていたのは奇跡としか言いようがありません」と話しています。

元米兵の息子と孫は|手紙で互いの思いを伝え合った

米国の男性は、OBONソサエティを通じて手紙を寄せました。

この旗が戻ることで、あなた方の心に少しでも安らぎと平穏がもたらされることを願っています。

男性の父は、米海軍の艦艇LST619に乗っていました。フィリピン近海で日本軍機の攻撃を受けた後、父が旗を手にしたのではないかと男性は書いています。

良雄さんも返事を書きました。旗が国を越えて故郷に届いたことへの感謝とともに、2024年に79歳で亡くなった母・都志子さんのことを伝えました。祖母と母を「生涯にわたり、とても強く、清らかで、美しい女性でした」とつづっています。

祖母は戦後、幼い娘を背負って魚介類を売り歩き、仲買人として地域で知られました。良雄さんは今、就労・子育て・介護を支える複合型施設を営んでいます。戦没者遺族としての体験が、福祉の仕事を選んだきっかけだといいます。

返還依頼は約3000件|遺族に戻ったのは760件以上

OBONソサエティは、戦地から持ち去られた日章旗などを遺族へ返す活動を続けています。2025年の活動概要資料によると、所有者から受けた返還依頼は約3000件以上です。遺族や地元への返還は760件以上で、依頼のおよそ4件に1件にあたります(760÷3000)。

団体は所有者から旗を受け取って保管し、遺族へ無償で返しています。旗を買い取ることはしません。調査は2009年5月に始まり、2019年8月には日本遺族会と返還の再委託契約を結びました。

出発点は、創設者の祖父の旗でした。ビルマ(現ミャンマー)で戦死した祖父の「寄せ書き日の丸」が、2007年にカナダから家族のもとへ返ってきました。

手元に名前入りの日章旗があれば|厚生労働省が持ち主を調べる

家族の遺品を整理していて、名前の書かれた日章旗や千人針が出てくることがあります。厚生労働省は、氏名や部隊名を手がかりに元の持ち主や遺族を調べています。

  1. 「遺留品調査依頼票」に記入し、遺品の写真を添えて送る(メールは件名に「遺留品調査」)
  2. 厚生労働省が保管資料と都道府県・市町村の協力で持ち主を調べる
  3. 調査結果と今後の流れが通知される
  4. 遺族が受け取る意思を示したら、案内に従って遺品を送る
  5. 都道府県を通じて遺族へ返還され、依頼者にも通知が届く

写真は、全体と上下左右・裏面、名前など手がかりの部分を、文字が読める鮮明さで撮ります。形式はjpg・png・PDFです。依頼が多く、回答まで少なくとも半年以上かかります。

依頼票は厚生労働省「寄せ書きのある日章旗や千人針など戦没者の遺品をお持ちの方へ」から取得できます。問い合わせは社会・援護局事業課 戦没者遺骨調査室(03-5253-1111、内線4523、suishin@mhlw.go.jp)です。厚生労働省は、名前入りの旗をネットオークションへ出さないよう呼びかけています。遺品を預かる業務は行っていません。軍刀は、登録証を確かめられるものだけが調査の対象です。登録証の無い軍刀を見つけたら、警察署へ相談します。

戦争で離れた家族の手がかりが戻った話は、原爆供養塔の遺骨が81年ぶりに遺族へ戻る記事でも紹介しています。

この記事は、朝日新聞の報道(2026年10月28日)と、厚生労働省・OBONソサエティの公表資料をもとにしています。

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この記事を書いた人

国内外の前向きなニュースを、公的機関・研究機関・当事者の公式発表など確かな出典をもとに紹介しています。記事は元の発表を確認したうえで独自の日本語でまとめ、誤りが分かった場合は訂正します。

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