犯罪で親を亡くした子どもは、事件の後も学校や暮らしの負担を抱え続けます。報道の取材やネットの書き込みに苦しむ家族も少なくありません。
東京都は2026年10月27日(火)、犯罪被害者と家族へのお金の支えを広げると発表しました。2026年3月にまとめた「第5期東京都犯罪被害者等支援計画」に沿った取り組みです。
2026年11月2日(月)から、親を亡くした18歳以下の子どもへの遺児見舞金30万円と、誹謗中傷や過剰な取材への対応を弁護士に頼む費用の助成(上限23万円)が始まります。刑事裁判の被害者参加を弁護士に頼む費用の助成も、上限が10万円から40万円になります。
11月2日から変わる3つの支え|対象は4月1日以降の被害
3つとも、2026年4月1日以降に起きた殺人や傷害など、故意の犯罪による被害が対象です。11月2日に始まる制度ですが、4月から10月までに起きた被害も含まれます。
| 支え | 対象 | 金額 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 遺児見舞金 (新設) |
親を失った18歳以下 | 1人30万円 | 被害から1年 |
| 誹謗中傷・取材対応の弁護士費用 (新設) |
被害者・家族 | 上限23万円 | 被害から2年 |
| 被害者参加の弁護士費用 (拡充) |
裁判所の許可を受けた人 | 上限40万円 (従来10万円) |
支払いから1年 |
期限は、遺児見舞金が都への申出、ほか2つは申請書の提出までです。被害者参加の上限は4倍になりました。使える人の資産の目安も、500万円未満から700万円未満へ広がっています。
遺児見舞金は子ども1人ごとに30万円
対象は、生計を共にしていた親などの一方か両方を、犯罪で失った18歳以下の子どもです。被害の時に都内に住んでいたことが条件です。留学などやむを得ない事情で都外に住む子どもも、対象になる場合があります。
都にはこれまでも、亡くなった人の遺族1人へ渡す遺族見舞金30万円がありました。受け取るのは配偶者など、最も順位が高い遺族です。子どもはその遺族に当たらない限り、遺族見舞金とは別に遺児見舞金を受け取れます。
たとえば都内で父親が亡くなり、母親と子ども2人が残された場合です。要綱に当てはめると、母親に遺族見舞金30万円、子ども2人に30万円ずつで、30万円+30万円×2=家族で90万円になります。受け取れるかは、面接相談で他の要件と合わせて確かめます。
被害者や遺族と加害者が親族の場合や、他の道府県から同じ種類の給付を受けた場合は、原則として対象外です。
遺児見舞金のほかに、以前からある支えもあります。見舞金は2020年4月1日以降の被害が対象です。
- 遺族見舞金:30万円(第1順位の遺族が申請しない時は、次の順位の人は申請できません)
- 重傷病見舞金:10万円(治療1か月以上かつ通算3日以上の入院)
- 転居費用の助成:実費のうち最大30万円(性犯罪の被害は、都内なら被害の場所を問いません)
- 無料法律相談:弁護士との面接相談が最大1時間30分まで無料
誹謗中傷や過剰な取材も弁護士に頼める
新しい助成は、事件の後に重なる「二次的被害」への対応費用です。弁護士に頼んだ着手金などのうち、23万円までを都が助成します。
- 報道機関の取材への対応や、本人の意向・要望の申し入れ
- ネット上の書き込みの削除依頼
- 書き込んだ人を特定する発信者情報開示請求の手続き
家族が使えるのは、被害者が亡くなったか、意思を示せない状態の時に限られます。申請には、依頼した弁護士の確認が要ります。申請書は東京都の交付申請書(PDF)です。同じ契約で国や法テラスなどの支援を受けた場合は対象外です。
被害者参加の費用は上限40万円に
被害者参加は、被害者や遺族が刑事裁判に出席し、被告人に質問などができる仕組みです。弁護士に頼む時の着手金を、40万円まで助成します。
条件は、都内で起きた被害で、被害者本人が当時都内に住んでいたことです。裁判所の許可を受け、着手金を払っている必要もあります。2026年3月31日までの被害は、これまでどおり上限10万円です。
まずは電話で相談|見舞金は面接が必要
見舞金を使うには、相談員との面接が必要です。まず「犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口」(公益社団法人 被害者支援都民センター)に電話します。どの支えも、被害届の受理などで被害の事実を確かめられることが前提です。
- 総合相談窓口:03-3222-9050、多摩支所 042-506-1042
- 受付時間:月・木・金曜は9時30分〜17時30分、火・水曜は19時まで(土日祝・年末年始を除く)
- 性犯罪・性暴力の相談:#8891(24時間365日)
申請書は都の犯罪被害者等支援事業のページに掲載されています。制度の問い合わせ先は、都総務局人権部人権施策推進課です。事業ページは直通03-5388-2589、各制度のPDFは都庁代表03-5321-1111(平日9時〜17時)を案内しています。
3月までの被害は新制度の対象外
遺児見舞金と二次的被害の助成は、2026年3月31日までに起きた被害には使えません。過失による事故や、都外に住んでいた人の被害も対象外です。助成は使った費用の一部で、弁護士費用の全額ではありません。
見舞金は被害から1年以内に申し出る必要があります。4月に起きた被害は、11月2日の時点で1年の期限のうち7か月が過ぎています。迷う段階でも、まず総合相談窓口に電話すると、使える支えを一緒に確かめられます。
期限のある公的な給付の例は、生活保護の追加給付、申出は2027年7月31日までの記事でも読めます。
この記事は2026年10月27日の東京都の発表をもとにしています。
出典:東京都「犯罪被害者等支援に係る経済的支援策の拡充について」(2026年10月27日)/東京都総務局人権部「犯罪被害者等支援事業」/同「見舞金給付について」(PDF)/同「二次的被害防止・軽減対応弁護士費用助成金について」(PDF)/同「被害者参加制度における弁護士費用の助成について」(PDF)

