略奪された祭儀用の布2点がベルリンへ 約88年を経て返還

略奪された祭儀用の布2点がベルリンへ 約88年を経て返還

1938年にベルリンのシナゴーグから奪われた祭儀用の布2点が、約88年を経て現地のユダヤ人共同体へ戻りました。米国で保管してきた共同体が、2026年10月22日に引き渡しました。

  • 戻ったのは、聖典を納める場所の幕と、巻物を束ねる帯の2点
  • 米国のTemple Chaiからベルリンのユダヤ人共同体へ返還
  • 収蔵・展示の方針はあるものの、一般公開の日程は未公表

通信社JTAが10月27日、返還に携わった人たちへの取材と、ベルリン側の回答を報じました。長く米国で守られてきた品々が、元の地域へ戻るまでの経緯をたどります。

目次

2点は違う役割を持つ布

返還されたのは「パロヘト」と「ウィンプル」です。どちらもユダヤ教の祭儀に関わる布ですが、使われる場所や役割は異なります。

返還された品 用途 今後の方針
パロヘト トーラーの巻物を納める聖櫃の前に掛ける幕 Centrum Judaicumの収蔵品に加える
ウィンプル トーラーの巻物を束ねる帯 旧ファザーネン通りシナゴーグ跡地の共同体施設で展示を計画

返還式が開かれたのは、新シナゴーグ・ベルリン財団の博物館・文書館Centrum Judaicumです。Temple Chaiのボニー・コッペル師が、ベルリンの共同体代表ギデオン・ヨッフェ氏へ品々を引き渡しました。

式典の場所と、今後それぞれの品を保管・展示する場所は同じとは限りません。幕は収蔵品に加える方針、帯は別の共同体施設での展示計画と、JTAは分けて伝えています。

米国で守られた品々が戻るまで

JTAが伝える家族の証言によると、2点は1938年11月9日の反ユダヤ暴動の際、ベルリンのシナゴーグから持ち去られました。戦後、モイシェ・サクセンハウス氏が入手し、米国へ移る際に持参しました。

同氏が1993年に亡くなった後、家族はアリゾナ州フェニックスのTemple Chaiへ寄贈しました。品々はそこで展示され、共同体の人たちが長く見守ってきました。2026年春、共同体は近郊のスコッツデールへ移転しています。

返還の動きにつながったのは、約2年前に家族から詳しい来歴を聞いた関係者の働きかけでした。JTAによると、関係者は調べた来歴を共同体内で共有し、ベルリン側が受け入れに同意した後、輸送の準備に入りました。返還式には、アリゾナから訪れた29人も立ち会いました。米国側にとっても、長年親しんだ品を手放すことになります。それでも、ベルリンの共同体へ戻す方向で話が進みました。

時期 確認できる経緯
1938年11月9日 ベルリンのシナゴーグから持ち去られたと家族が証言
戦後 サクセンハウス氏が入手し、米国へ持参
1993年の死後 家族がTemple Chaiへ寄贈
2026年10月22日 ベルリンで2点を引き渡し

88周年を前に実現した返還

1938年から2026年までは、暦の年で88年です。ただし、持ち去られたとされる11月9日より前に返還されたため、正確には「約88年」となります。

引き渡しの10月22日は、88周年となる11月9日の18日前です。また、JTAの報道日は10月27日で、式典から5日後にあたります。今回のニュースは、返還を求めている段階ではなく、すでに引き渡しが実現した出来事です。

米国で保管されていた間にも、寄贈した家族と受け入れた共同体の間で品々は受け継がれてきました。今回の変化は、その保管先が国境を越え、ベルリンの共同体へ移った点にあります。

出所の特定と展示は今後の課題

ベルリンへ戻った一方で、来歴には未解明の部分も残っています。共同体の広報担当者はJTAに対し、幕が戦前のどのシナゴーグにあったのか、専門家による確認には至っていないと説明しました。

そのため「ベルリンへ返還された」ことと、「元あった建物へ戻った」ことは分けて捉える必要があります。現時点で確認できるのは、ベルリンの共同体が2点を受け取った事実と、収蔵・展示に向けた方針です。

原典には一般公開の開始日や開館時の展示状況までは示されていません。今後は、品々の来歴調査とともに、どのように受け継ぎ公開するかが注目されます。

返還の詳しい経緯はJTAの取材記事で読めます。長い時間をかけた回復の出来事は、保護されたウミガメ2匹が野生へ戻ったニュースでも紹介しています。

確認日:2026年10月29日。画像は文化財の返還を表すイラストです。

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国内外の前向きなニュースを、公的機関・研究機関・当事者の公式発表など確かな出典をもとに紹介しています。記事は元の発表を確認したうえで独自の日本語でまとめ、誤りが分かった場合は訂正します。

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