旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の清算人は2026年10月20日、東京地裁へ第6回の報告書を出しました。献金被害などで教団にお金を求める「債権申出」をした人は、10月19日時点で337人でした。
申出の受付は2027年5月20日までです。この期限を過ぎると、清算の配分から外れます。残りは約6か月半です。手続きの流れと、無料で相談できる窓口をまとめます。
背景と経緯
東京地裁は2025年3月25日、教団に解散を命じました。2026年3月4日に東京高裁が教団の抗告を退け、命令は効力を持ちました。同じ日に清算が始まり、伊藤尚弁護士が清算人に選ばれています。共同通信によると、6月の最高裁の決定で判断が確定しました。
清算では、教団の財産を現金に換え、被害を訴える人や取引先へ配ります。宗教法人法の決まりで、清算人は官報で3回、申出を促す公告を出しました。教団が把握していない人は、期間内に申し出ないと清算から除かれます。
清算人は申出の機会を広く取るため、期間を1年としました。2026年5月20日に受付が始まり、締め切りは2027年5月20日です。法務省と法テラスも同じ期間を案内しています。
その後どうなったか
申出をした人は、7月下旬の第4回報告で約212人でした。9月25日の第5回で281人、10月20日の第6回で337人です。清算人団は裁判所と相談しながら、申出の中身の調査を始めました。
第6回報告では、周知のためのYouTubeチャンネルも開設しました。テレビCMとして流した動画を載せています。新聞各紙への広告も出しており、4〜6月の広告費は約1億4,660万円でした。
清算人が公開したCM動画です。申出の期限と窓口を案内しています。
教団の組織は縮んでいます。9月10日には職員約470人が解雇され、本部の経理や総務など約30人だけが残りました。借りていた教会などの契約は9割超を解約し、約600台の車もほぼ売り終えました。
支援の側も動いています。全国統一教会被害対策弁護団は10月16日、申出の代理を無料にしました。当初は着手金と実費で計3万8千円の予定でしたが、手続き中の人からも受け取りません。弁護団は3月以降、千件余りの相談に応じてきました。
村越進弁護団長は「潜在的な被害を考えると、ごく一部に過ぎない」と話しています。9月12日には京都市でも相談会が開かれ、弁護士が「証拠がないからと諦めないで」と呼びかけました。
数字で見る|財産と申出
清算人は四半期ごとに財産の表を出しています。6月30日時点の主な数字です(単位は億円、千円の値を四捨五入)。
| 項目 | 金額・人数 | 出典 |
|---|---|---|
| 現金・預金 | 約406億円 | 第6回報告書 別紙1 |
| 土地・建物(帳簿の額) | 約289億円 | 同 |
| 資産の合計 | 約714億円 | 同 |
| 負債(預り金・退職金の引当など) | 約9億円 | 同 |
| 4〜6月の支出 | 約60億円(うち退職金約32億円) | 第6回報告書 別紙2 |
| 申出をした人 | 212人→281人→337人 | 第4〜6回報告 |
解散命令が効力を持った3月4日の資産は約834億円でした(共同通信)。6月末の約714億円との差は約120億円です。退職金や清算の費用、建物の帳簿の扱いなどが重なっています。
土地・建物は帳簿の額のままで、売れる値段とは違う場合があると表に注記されています。清算の費用は4〜6月で約7億5,640万円でした。清算人団25人の報酬1億1,700万円、各地の現場代理人約400人の報酬4億6,100万円などです。
いくら配られるか、いつ払われるかはまだ決まっていません。申出を認めるかどうかの時期も未定で、清算人からの通知を待ちます。お金は申し出た本人名義の口座へ送られます。弁護士に頼んだ場合は、弁護士の預り金口座も使えます。
申出の方法と必要な書類
申出はオンラインか郵送でできます。オンラインは清算人のサイトでアカウントを作り、マイページから送ります。弁護士が代理する時はオンラインを使います。入力画面は20分操作しないと切れ、内容が消えます。
申出の際、内容を元信者や職員などに示して調べることに同意するかを選びます。同意しない場合は書面での申出になり、調べ方が限られます。その分、債権を認めてもらいにくくなるおそれがあります。
郵送の宛先は「〒885-0044 宮崎県都城市安久町5023-1 債権申出等書類受領事務担当」です。送料は自己負担で、書類は全ページを送ります。持ち込みは受け付けていません。
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード(番号の無い面)など
- 証拠の写し:通帳、領収書、録音、メール、買った品物の写真など
- 相続した人:亡くなった人の戸籍謄本の連続したもの、または法定相続情報一覧図など
- オンラインで添える画像:JPG・PNG・PDFで、1つ20MBまで
証拠が少なくても申し出られます。献金の記録は、別の「献金等情報開示申請」で教団の記録を取り寄せられる場合があります。申請できるのは献金した本人か相続人だけです。郵送で申請する時は、発行から3か月以内の住民票などの原本と、手数料1,500円分の定額小為替を同封します。
読者にできること
心当たりがある人は、まず期限の2027年5月20日をカレンダーに書いておきます。昔の献金でも、清算人は時効や除斥期間を過ぎた分の扱いを検討中です。時期に関係なく申し出るよう求めています。
次の人も、別に申出が必要です。
- 教団の「補償委員会」へ申請していた人:引き継がれないので、証拠も出し直す
- 夫婦で献金した人:連名はできず、金額が重ならないよう1人ずつ出す
- 判決や和解がある人、裁判中の人:清算の手続きとして改めて申し出る
何が必要か分からない時は、無料の窓口に聞けます。
- 法テラス「霊感商法等対応ダイヤル」:0120-005931(平日9時30分〜17時)、海外から050-3383-0010
- 法テラスの無料電話相談会(予約不要):11月18日(水)17時30分〜20時30分、11月29日(日)13時〜17時。弁護士と心理職が答えます。12月16日(水)、1月20日(水)、1月31日(日)にも開かれます
- 清算人のコールセンター:0570-666542(ナビダイヤル、平日9時〜17時)。清算人の所属する法律事務所では答えてもらえません
- 全国統一教会被害対策弁護団:申出の代理は無料
法テラスのダイヤルは、2022年11月から2026年9月末までに1万5,251件の相談を受けました。旧統一教会に関わる相談は3,671件です。家族のことや今後の暮らしの悩みも受け付けています。
法テラスを通じた公的な支援の例は、東京都が犯罪被害の遺児に見舞金を出す記事でも紹介しています。
この記事は2026年10月20日の清算人の報告書(第6回)をもとにしています。第5回報告書(9月25日)、清算人と法務省・法テラスの案内、共同通信の報道も参照しました。
出典:清算人「報告書(第6回)」(2026年10月20日、PDF)、清算人「よくあるご質問」、法テラス「旧統一教会の清算手続について」、共同通信「献金被害の申し出、無償で受け付け」(熊本日日新聞、2026年10月16日)

