中部電力ミライズが取りすぎた電気料金を返還へ 30アンペアで320円、解約済みは方法未定

中部電力ミライズが取りすぎた電気料金を返還へ 30アンペアで320円、解約済みは方法未定

中部電力ミライズは、従量電灯などの古い料金メニューで、2024年4月から電気料金を高く取りすぎていました。料金のもとになる原価の計算を誤っていたためです。2026年11月1日から単価を正し、取りすぎた分を返します。

対象は、2024年4月1日〜2026年10月31日に従量電灯や低圧電力などを契約していた人です。2026年8月時点で500.9万件あり、返還の総額は12億円程度です。

従量電灯B・30アンペアで期間中ずっと契約していた家庭なら、返還額は320円です。契約中の人は、準備が整った人から12月分以降の電気料金で差し引かれます。すでに解約した人の返し方は、まだ決まっていません。

目次

返還の対象は?|従量電灯など規制料金の契約

対象になるのは、電力の小売り自由化より前からある「特定小売供給約款」のメニューです。国の規制がかかる料金で、次の契約種別が当てはまります。

  • 家庭向け:定額電灯、従量電灯A・B・C
  • 工事・催し向け:臨時電灯A・B・C、臨時電力
  • 店舗・工場向け:低圧電力
  • その他:公衆街路灯A・B、農事用電力A・B、附則の公衆街路灯・農事用電力・農事用電灯・深夜電力

「おとくプラン」などの自由料金メニューは対象外です。同じ中部電力ミライズの契約でも、メニューで分かれます。

期間中に1か月でも対象の契約があれば、今は解約していても対象です。精算の規定にも、契約が終わった人にも適用すると書かれています。

いくら戻る?|30アンペアで320円

誤っていたのは基本料金などの固定部分で、使った電気の量にかかる単価は変わりません。そのため、返還額は使用量ではなく契約の大きさと月数で決まります。

計算は「訂正前と訂正後の単価の差(1円未満は切り上げ)×対象の月数」です。30アンペアなら、963円42銭−954円15銭=9円27銭を10円に切り上げ、10円×32か月(2024年4月分〜2026年11月分)=320円になります。

従量電灯B 月の差額 切り上げ 32か月分
10A 3円09銭 4円 128円
20A 6円18銭 7円 224円
30A 9円27銭 10円 320円
40A 12円36銭 13円 416円
50A 15円45銭 16円 512円
60A 18円54銭 19円 608円

30アンペアの320円は公式の算定例。他は同じ式で計算した目安。途中で契約した人は月数が減ります。

従量電灯Cは1キロボルトアンペアごとに月3円09銭の差です。会社の試算では、1か月あたりの返還は最大152円、平均的な家庭で10円です。差が1円に満たず、返還が出ない契約もあります。

背景と経緯|誤りは2024年に気づかれていた

中部電力ミライズは2024年2月、送電網の使用料(託送料金)の改定に合わせて規制料金を見直し、国へ届け出ました。料金のもとになる原価は、親会社の中部電力が計算しています。

時期 起きたこと
2023年12月〜 中部電力が原価を計算し、ミライズへ渡す
2024年1月 計算の誤りが見つかるが、役職者が重大と認識せず放置
2024年4月1日 誤った原価にもとづく料金を適用
2026年6月〜 次の料金見直しの準備で誤りに再び気づき、調査を始める
2026年9月10日 過大な料金を公表
2026年9月29日 返還方法を発表し、単価是正を届け出る
2026年11月1日 正しい単価に切り替え

誤りは、発電側課金の導入で増える3年分の原価です。正しくは474億円の増加なのに、501億円と計算していました。月ごとの割引額を年額に直し忘れたことなどが原因で、27億円が多く積まれていました。

会社は原因として、計算と審査の担当者の知識不足と、影響の重さへの意識の低さを挙げました。判断が口頭中心で、記録も残っていませんでした。9月29日には経済産業省へ報告書を出し、社会の視点より社内の論理を優先していたと認めたと共同通信が報じています。

その後どうなったか|11月から単価を是正

11月1日から、従量電灯Bの30アンペアなら基本料金の誤差9円27銭が正されました。ただし同じ日に、託送料金の見直しによる料金改定も重なっています。

30アンペアの基本料金は、10月までの963円42銭から1,343円76銭に上がりました。平均的な家庭(30アンペア、月260キロワット時)の月額は9,252円から9,647円へ、395円の値上げです。11月の請求額が上がっても、是正が無かったわけではありません。

返還は、契約中の人から始まります。準備が整った人から順に、12月分以降の電気料金から差し引く方式です。精算の規定では、料金との相殺のほか、口座振込みなども会社が選べる方法に入っています。

再発防止として、会社は計算と審査の体制を強めます。影響額にかかわらず部門長への報告を必須にし、判断は記録の残る文書やメールで行うとしています。

数字で見る|12億円と500万件

項目 数字
対象の契約口(2026年8月時点) 500.9万件(解約分は含まない)
返還の総額 12億円程度
多く積んだ原価 27億円(3年分)
1か月あたりの返還 最大152円・平均的な家庭10円・最小0円
対象の期間 2024年4月〜2026年10月(料金は11月分まで)
誤りの発覚から公表まで 約2年8か月

総額12億円を500.9万件で割ると、1件あたり約240円です。1件の額は小さくても、気づかれないまま2年以上続いた点が問題の大きさを物語っています。

読者にできること|契約と連絡を確かめる

  1. 契約種別を見る:検針票や家庭向けWeb会員サービスで「従量電灯B」などの表示を確かめます。「おとくプラン」などなら対象外です。
  2. 契約中なら待つ:12月分以降の請求から順に差し引かれます。いつの請求で差し引かれるかは人によって違います。
  3. 解約した人は記録を残す:引っ越しや他社への切り替えで解約した人も対象です。当時の住所や契約番号が分かる書類を手元に置いておくと、方法が決まった時に確かめやすくなります。
  4. 口座を聞く連絡に注意:会社は今後、返還先の口座を電話やSMSで確かめる可能性があるとしています。ただし、まだ始めていません。今届く口座確認の連絡には答えず、下の専用ダイヤルへ確かめます。

問い合わせは中部電力ミライズの専用ページと専用ダイヤル0120-427-416(通話料無料、平日9時〜17時)です。11月からの料金改定の質問は、別のダイヤル0120-352-827(平日9時〜17時)が受けます。

まだ分からないこともあります。解約済みの人の返還方法と時期は「決まり次第お知らせ」とされ、11月7日時点で公表されていません。解約した契約の件数も精査中です。契約中の人も、自分の返還がどの月の請求になるかは示されていません。

中部電力をめぐっては、浜岡原発の審査資料でも問題が明らかになっています。経緯は浜岡3・4号機の申請取り下げの記事で読めます。

この記事は2026年9月10日と9月29日の中部電力ミライズの発表をもとにしています。精算規定・単価表、共同通信の報道も参照しました。

出典:中部電力ミライズ「特定小売供給約款の原価算定誤りに関するお知らせ」、同「特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤りについて」(2026年9月10日)、同「電気料金の返還方法などについて」(2026年9月29日)、同「託送料金の変更に伴う電気料金の見直し」(2026年9月29日)、共同通信「中部電力、過大徴収で報告書」(熊本日日新聞、2026年9月29日)

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この記事を書いた人

国内外の前向きなニュースを、公的機関・研究機関・当事者の公式発表など確かな出典をもとに紹介しています。記事は元の発表を確認したうえで独自の日本語でまとめ、誤りが分かった場合は訂正します。

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