米労働省、829人分の未払い残業代を回収 出勤ボーナスの計算漏れで約60万ドル

米労働省、829人分の未払い残業代を回収 出勤ボーナスの計算漏れで約60万ドル

米国の自動車部品メーカーToa (USA) LLCで、出勤ボーナスを残業代の計算に含めていなかったことが分かりました。米労働省は2026年10月28日、労働者829人分の未払い賃金60万3,953ドルを回収したと発表しました。

働いた時間だけでなく、残業代の基準になる賃金に何を含めるかが問題になった事例です。同省の調査結果とボーナスの解説資料を合わせると、計算漏れが生じた理由が見えてきます。回収済みの賃金を本人が探すための公式窓口もあります。

目次

背景と経緯|出勤ボーナスが計算から漏れた

調査したのは、米労働省の賃金・労働時間局(WHD)です。インディアナポリス周辺で事業を営むToaの時給制従業員について、対象となる週の残業代に、裁量的でない出勤ボーナスを算入していなかったと認定しました。同省は、米国の公正労働基準法(FLSA)の残業代に関する規定への違反と説明しています。

Toaはインディアナ州ムーアズビルに製造施設を持ちます。発表は、同社をSubaru of Indiana Automotiveなどへの主要な部品供給元と説明しています。供給するのは車体構造やサスペンションの部品です。今回、賃金計算の問題を指摘された主体はToaです。

ここでいう「裁量的でない」は、単に支給するかどうかを会社が自由に決められる、という扱いにはならないボーナスを指します。WHDのボーナスに関する公式解説「Fact Sheet #56C」は、従業員が条件を知り、受け取れると期待する出勤ボーナスなどを例に挙げています。

つまり、基本の時給を基に残業代を払っていても、基準に含めるべきボーナスが抜けると不足が生じます。労働時間を記録していることと、残業代の計算が正しいことは、別々に確かめる必要があるわけです。

ボーナスは名前より条件で分かれる

同解説は、米国の残業代規定の適用対象となる従業員について、通常の賃金率に含める報酬を説明しています。一般に、1週40時間を超えて働いた分には、通常の賃金率の少なくとも1.5倍が必要です。この「通常の賃金率」は、基本時給と同じになるとは限りません。

米労働省の解説によるボーナスの区別
確認する点 通常の賃金率との関係
事前に示された条件・算式で受け取るもの 算入が必要な例として、出勤、出来高、仕事の品質などのボーナスを挙げる
支給の有無・金額を雇用主が期末近くまで単独で決めるもの 事前の約束がないことなど、すべての法定条件を満たせば裁量的なボーナスとして除外できる
名称に「裁量的」と付けているもの 名称だけでは決まらず、実際の支給条件で判断する

「ボーナスなら全部含める」「会社が裁量的と呼べば除外できる」という分け方ではありません。今回の発表は、Toaの出勤ボーナスが算入すべきものだったとしています。個別の対象期間やボーナスの額までは示していません。

WHDの解説にある計算の流れは、除外できるものを除いた週の報酬総額を、その週の総労働時間で割るものです。通常賃金分が全労働時間に対してすでに支払われている場合は、この賃金率を基に残業時間分の追加の割増額を求めます。ボーナスを報酬総額から落とすと、その後の割増計算の基準も小さくなります。

その後どうなったか|未払い分は回収済み

10月28日の発表は、調査開始や支払いの要求にとどまるものではありません。米労働省は、未払い賃金を「回収した」と説明しています。一方、個々の労働者がいつ、いくら受け取ったか、829人全員への送金が終わったかは、この発表からは分かりません。

WHDのWorkers Owed Wages(WOW)の案内では、回収後に本人を探して通知する仕組みが説明されています。本人が見つからない場合は、探し続けながら賃金を3年間保管し、それでも見つからなければ米財務省に送るとしています。回収と本人の受領には、その間をつなぐ手続きがあります。

今回の是正の到達点は、対象者のための未払い賃金が回収されたことです。企業の給与計算がその後どう改められたか、再発がないかについて、発表には具体的な報告がありません。回収額の大きさと、継続的な改善の確認は分けて追う必要があります。

数字で見る|1人平均は約729ドル

Toaの事案で公表された規模
項目 確認できる数字・状態
回収の対象 労働者829人
回収された未払い賃金 603,953米ドル
総額を人数で割った単純平均 約728.53米ドル
発表日 2026年10月28日

単純平均の式は、603,953ドル÷829人=約728.53ドルです。これは規模をつかむための計算で、各人への支給額を表すものではありません。個人別の額は発表されていません。

この数字が示すのは、計算に含める項目の見落としが、多くの人にまたがる未払いにつながったことです。どの週にいくら不足したかを知るには、個々の労働時間や報酬の記録が必要になります。

読者にできること|回収済みの賃金を探す

米国で働いた経験があり、WHDが自分の未払い賃金を回収している可能性を確かめたい人は、WOWの公式案内から検索に進めます。日本の未払い賃金の申請窓口ではなく、米労働省が回収した賃金を扱う仕組みです。

  1. 雇用主を検索する。公式のWOW検索アプリで、勤務先の名称を入力します。
  2. 自分の名前を確認する。対象の勤務先の中で自分を探し、回収された賃金があるかを確かめます。
  3. 連絡先を登録する。請求書と手順の案内を受け取るための情報を送ります。
  4. 請求書と本人確認書類を提出する。メールで届くWH-60に記入・署名し、login.govのアカウントを使ってアップロードします。必要な書類の選択肢は公式案内に掲載されています。

WHDは、請求書の提出後、処理と支払いに約6週間を見込むと案内しています。2025年10月1日から支払いは電子化されており、紙の小切手で受け取っていた人には情報更新を求めています。検索結果への掲載や、この手順による受領を、Toaの対象者全員について確認したものではありません。

動画:Workers Owed Wages(USDepartmentofLabor)

検索の対象が分からない場合や賃金に関する質問は、WHDの案内窓口1-866-487-9243で受け付けています。まず勤務先名を手元に用意し、公式の検索・請求手順から、自分に該当する回収があるかを確かめることが次の一歩です。

救済が決まった後の手続きを知りたい方は、日本の生活保護減額をめぐる判断と追加給付の申出も読めます。

この記事は2026年10月28日の米労働省発表と、11月4日に確認した同省の解説・手続き案内をもとにしています。

出典:米労働省のToaに関する発表(2026年10月28日、26-776-CHI)、Fact Sheet #56C、Workers Owed Wages

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この記事を書いた人

国内外の前向きなニュースを、公的機関・研究機関・当事者の公式発表など確かな出典をもとに紹介しています。記事は元の発表を確認したうえで独自の日本語でまとめ、誤りが分かった場合は訂正します。

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