トンガリロの在来植生を守る 250ha超で火災後の外来植物対策

焼けた株元から伸びる緑の葉を描いたイラスト。トンガリロの再生を守る、250ha超で外来植物対策。

焼けた地面から伸びた新芽を、次は外来植物や草を食べる動物から守る。ニュージーランドのトンガリロ国立公園で、昨年の火災後の回復を支える保全作業が進んでいます。

自然保護省(DOC)は2026年9月30日、250ヘクタールを超える範囲で外来植物の防除を行い、シカ91頭を被災地域から除いたと発表しました。在来植物には再生が見られますが、景観全体の回復には長い時間がかかるとしています。

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新芽を守る、火災後の保全

トンガリロはニュージーランド北島にある国立公園です。火山地形の自然的価値に加え、マオリの人々と山との文化的な結び付きも評価されています。1990年に自然遺産として登録され、1993年には文化的景観としても認められました。守る対象は山の眺めだけでなく、そこで続いてきた生態系と地域の関係です。

2025年末の二度の大きな火災は、成長の遅い高山域の生態系を含む3000ヘクタール以上に影響しました。翌2026年2月、政府は5年間で350万ニュージーランドドルを投じると発表。国際観光客から集める観光税「IVL」を、外来植物・動物の管理や生物多様性の観測に充てる計画です。

地域のマオリ集団、ンガーティ・ヒカイロ・キ・トンガリロとDOCは、回復計画「Maunga Ora」を進めています。科学と地域に受け継がれた知識を組み合わせ、土地の再生を長期的に支える取り組みです。今回の防除実績は、資金の発表だけでなく、現地で作業が進んだことを示しています。

トンガリロの火災被災地で、焼けた株元から黄緑色の葉が伸びる植物
黒く焼けた株元の周囲に、新しい葉が伸びています。再生の芽が見えることと、生態系全体が戻ることには隔たりがあります。出典・写真:DOC/9月30日の公式発表

火が消えたあとも、植物どうしの競争は続きます。ビクトリア大学ウェリントンの生態学者ジュリー・デスリップ氏は、2025年11月の解説で、裸地に外来植物が入り込みやすくなると指摘しました。ヒースやハリエニシダ、エニシダ、マツなどが増えると、成長の遅い在来種が押し負けるおそれがあるためです。

DOCは、地上と空からの外来植物対策、シカの管理、ドローンによる監視を組み合わせています。隣接する土地の所有者や道路管理機関とも連携。公園の境界だけで区切らず、周りから入る植物や動物にも目を配ることが、芽生えた植物を守るうえで大切になります。

数字で見る対策と回復の違い

発表の数字は、同じ「回復」の指標ではありません。被災した広さ、作業を行った広さ、動物の管理頭数、将来の予算を分けると、現在地が見えてきます。

トンガリロの被災規模と保全策
項目 公表値
火災の影響面積 3000ha超
外来植物の防除 250ha超
除かれたシカ 91頭
復旧への資金 350万NZドル
5年間の配分

250ha超は植生が完全に戻った面積ではありません。予算も支出済みの総額とは別です。これらの値から公園全体の回復率を計算することはできません。

次に知りたいのは、作業量だけでなく、その後に何が変わったかです。在来種が残る範囲や、外来植物が再び増える程度を続けて観察してこそ、対策の成果が分かります。9月の発表では、全域で在来植生が戻る時期や、種ごとの回復率までは示されていません。

この先は、回復を妨げない関わり方

被災した土地には、ンガーティ・ヒカイロ・キ・トンガリロが、土地の再生を支える10年間の「ラーフイ」を設けています。2025年11月の共同説明では、被災地の長期的な回復を支える措置と位置付けられました。公園全体を10年間閉鎖する意味ではなく、開いている道と保全対象の土地を分けて考える必要があります。

DOCの2025年12月の再開発表でも、長期のラーフイは火災被災地にかかり、開放された道や山小屋を一律に閉じるものではないと説明しています。ただし、過去の再開情報だけで現在の通行可否は判断できません。訪問する場合は、DOCの公園案内と各ルートの最新情報を確かめてください。

  • 開放されている道を使い、被災地の道外へ踏み込まない。
  • 靴や道具を清潔にして、外来植物の種などを持ち込まない。
  • ごみは持ち帰り、土地の回復を妨げない。

DOCは10月16日午前10時から、ラウリムのBlue Mountain Adventure Centreで、回復作業を知るための公開説明会を予定しています。参加の詳細や受付方法は、9月30日の発表が案内するDOC TongariroのFacebookで確認するよう求めています。現地の作業に関心がある人も、独自に被災地へ入らず、管理者の案内から関わることが出発点になります。

今年もエニシダの黄色い花がまだ見られる見込みで、外来植物の根絶には至っていません。新しい緑を一度見て終わるのではなく、在来の植物が育ち続けられるかを見守る。今回の保全策は、そのための長い取り組みの一歩です。

生態系が戻る過程を知る関連記事:西之島の噴火後の生きもの調査。動物を守る継続的な対策は、カカポ325羽までの保全の歩みでも取り上げています。

この記事は2026年9月30日の発表をもとにしています。公開説明会の予定は10月13日時点。

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国内外の前向きなニュースを、公的機関・研究機関・当事者の公式発表など確かな出典をもとに紹介しています。記事は元の発表を確認したうえで独自の日本語でまとめ、誤りが分かった場合は訂正します。

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