青い羽を広げるオオルリシジミを、棚田の風景へ戻したい。長野県千曲市の姨捨では、幼虫の食べ物になる植物を残し、地域でチョウを育てる活動が続いています。2026年6月21日の研修会では、数は少ないものの、成長した幼虫が確認されました。
日本自然保護協会が9月1日に公表した報告によると、5月末には卵の付いた枝の持ち去りがありました。自治体の防犯カメラと、保護団体の見回りを組み合わせ、次の世代を守ろうとしています。幼虫が見つかった意味を、これまでの復活活動と合わせて見ていきます。
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クララを残すことが第一歩
オオルリシジミは、草地に暮らすシジミチョウの仲間です。千曲市は、姨捨では1990年頃まで多く見られたと説明しています。その後、農薬の散布や食草の刈り払いなどで姿を消しました。チョウだけを増やしても、子孫が育つ場所が失われたままでは暮らしをつなげません。
幼虫が食べるのは、マメ科の多年草クララのつぼみや花です。メスはそこへ卵を産みます。棚田の脇にある草を一様に刈るのではなく、クララが育つ環境を残すことが、保護活動の土台になります。人が手入れしてきた里山の風景と、小さなチョウの暮らしは結び付いています。

千曲市が2025年5月に紹介した活動では、保存会や棚田関係者、更級農業高校の生徒らが参加しました。繁殖させた蛹を、植えたクララの根元に入れる取り組みです。高校生はクララの苗の栽培や活用研究にも関わっています。蛹を放す作業と、幼虫を育む植物の管理が一緒に進められています。
同じチョウを守る東御市でも、2001年から本格的な保護活動が始まりました。食草の保護・増殖と飼育などを重ね、2004年には北御牧で自然繁殖を確認しています。ただし、これは東御市の経緯です。姨捨でも同じ段階まで回復したという意味にはなりません。
2年の研修で幼虫を見守る
姨捨では、成虫が飛ぶ姿を見るだけでなく、卵や幼虫を確かめる研修が続いています。2025年6月22日の初回は、地元の保存会と日本自然保護協会の共催で26人が参加しました。次の年も同じ季節に観察することは、成虫の姿だけでは見えない変化を知る機会になります。
| 実施日 | 報告された内容 |
|---|---|
| 2025年 6月22日 |
初回の卵・幼虫研修会。26人が参加し、幼虫を観察 |
| 2026年 6月21日 |
2回目の研修会。数は少ないが終齢幼虫を確認 |
26人は前年の参加人数です。2026年の参加人数と、確認した幼虫の正確な数は、9月1日の報告に記載されていません。終齢幼虫は、蛹になる前の最後の段階の幼虫を指します。
2026年は、研修の前に卵の付いた食草の枝が十数カ所から持ち去られました。少ないながら幼虫が残っていたことは、保護活動を続けるうえで大切な確認です。一方、前年と同じ方法で数を比較した調査結果ではありません。個体数が増えたか、自然繁殖が安定して続くかまでは、この報告から分かりません。
そこで加わったのが、卵や幼虫の段階も守る仕組みです。自治体は複数カ所に防犯カメラを設置しました。日本自然保護協会は支援を活用して見回り用のゼッケンを作り、地域の保護団体が研修会の日から使っています。植物の管理と見回りは、それぞれ違う危険に備える役割があります。
採らず、立ち入らずに応援
今後の課題は、今年残った幼虫が次の世代へつながる環境を守り続けることです。カメラやゼッケンを導入した後、持ち去りがどれだけ減ったかは公表されていません。幼虫の確認を喜びながらも、保護の効果は継続した観察で確かめる必要があります。
- 成虫だけでなく、卵や幼虫も捕獲・採取しない。
- 畦や農地に無断で入り、食草を踏んだり枝を折ったりしない。
- 観察したいときは、自治体や保護団体が案内する公開の機会を確かめる。
千曲市も、成虫・幼虫・卵などの捕獲を禁じていると案内しています。保全の経過は日本自然保護協会の報告で確認できます。過去の研修会の日程を、これから参加できる募集と取り違えないようにしましょう。次の案内が出たときにルールを守って学ぶことも、チョウの暮らしを支える一歩です。
水田の環境を残す取り組みは、与那国島の水田を生きもののすみかへ戻す保全計画でも紹介しています。
この記事は2026年9月1日の発表と、2025年からの公式記録をもとにしています。2026年10月16日更新。
出典:日本自然保護協会(2026年9月1日)、同・前年の研修会(2025年8月25日)、千曲市・2025年5月の活動、東御市・オオルリシジミ(2026年3月27日更新)

