ニュージーランド南島北部のタスマン湾で、市民が海洋保護区を見守る仕組みを支えています。地域のボランティア「Coastwatch Whakatū」が専門機関の訓練を受け、海辺や海上で気づいた情報を保全の仕事へつないでいます。
自然保護省(DOC)は2026年9月7日、2つの保護区で活動が力になっていると発表しました。市民が取締官になる仕組みではありません。暮らしや余暇の中で海を見ている人の目と、専門機関の対応を結びつける取り組みです。
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長く守ってきた2つの海
対象は、アベル・タスマン国立公園沿岸のトンガ島海洋保護区と、ネルソン北部のホロイランギ海洋保護区です。トンガ島はタスマン湾にある小島で、その周辺と対岸の海岸を含む約1,835haが保護されています。
トンガ島の保護区は1993年の命令で設けられました。一方、ホロイランギは2005年に設置され、2006年1月に開所式が行われています。約904haの海には岩礁が広がり、海綿、イソギンチャク、貝類などが暮らしています。守られているのは目立つ動物だけでなく、岩場や海底につながる生態系です。

ただ、海に線が引かれているわけではありません。DOCは標識や目印、航行用アプリなどで区域を知らせています。トンガ島の範囲は、公式の境界図(PDF)でも確認できます。※この図は区域確認用で、航海用ではありません。
保護の状態を確かめる調査も続いています。タスマン湾ガーディアンズは、トンガ島で2021年9月に行ったロブスター調査の映像を公開しています。沿岸の見守りと海中の生きものを調べる仕事は、役割の異なる保全活動です。
数字で見る見守りの課題
DOCに寄せられる市民の情報は、違反の防止や調査に役立ってきました。一方、連絡が遅かったり、調べるための詳しい情報が足りなかったりする課題もありました。職員が定期巡回していても、海を常時見ていられるわけではありません。
| 集計期間 | 件数 |
|---|---|
| 2020〜2024年 | 年平均10件 |
| 2025年 | 年間24件 |
2025年は、それまで5年間の年平均の2.4倍でした。比較の対象は同じ2つの保護区ですが、10件は5年間の合計ではなく1年あたりの平均です。この違いを押さえると、増加の大きさが分かります。
2026年についてDOCは「少し減った」と説明しています。ただし、9月の発表に正確な件数や集計の締め日はありません。2025年の通年実績と同じ条件で比較したり、市民グループの効果だけで減少したと判断したりするには情報が足りません。
そこで、海辺の住民や海を利用する人たちへの呼びかけから、市民グループが生まれました。地元の自然保護団体タスマン湾ガーディアンズが連絡や調整を担い、DOCのレンジャーが知識と記録の取り方を伝えています。水産当局や自治体も加わり、漁獲ルール、汚染、航行灯の不具合、漂流物などを学びます。
安全な情報提供で支える
見守りの役割は、気づいたことを必要な相手へ知らせることです。活動団体の案内も、メンバーは取締官ではなく、地域の観察者だと説明しています。無理に証拠を集めず、安全な場所から分かることを伝えるのが基本です。

DOCが情報提供者に求めているのは、次のような内容です。
- 見かけた日時と場所
- 船や乗っている人、関連する車両の特徴
- 安全に撮影できる場合の写真や動画
現地で保護区内の釣りなどを見かけた時の窓口は、0800 DOC HOT(0800 362 468)です。DOCは24時間・年中無休で受け付けています。魚や貝の取り過ぎ、小さすぎる個体の採取は、水産当局の0800 4 POACHER(0800 476 224)が案内されています。※いずれもニュージーランドの現地窓口です。
9月7日の発表では9月末の研修が予定されていました。その実施結果や次回日程は発表本文では確認できません。参加に関心がある人は、現在も登録への入口があるCoast Watchの公式案内から、活動条件と今後の機会を確認できます。
海を守る仕事は、区域を決めて終わりではありません。境界を知る人、変化に気づく人、調べて対応する人のつながりが続いてこそ、保護が日常になります。海と陸で方法は違っても、地域と専門家が生きものを支える点は、トロアの巣立ちを支える保全にも通じています。
この記事は2026年9月7日の発表をもとに、10月13日に公式の保護区・活動案内を確認して更新しました。
出典:DOC・市民の見守り(9月7日)/DOC・ホロイランギ/NZ政府・2006年の開所式/トンガ島保護区設置命令(1993年)。

