火星の小さな衛星から、砂を地球へ持ち帰る。JAXAの火星衛星探査機MMXが、2026年10月20日4時41分に種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で打ち上がり、約1時間11分後に正常に分離されました。成功すれば、火星圏からのサンプルリターンは世界初です。
では、いつ着いて、いつ帰ってくるのか。JAXAの発表と公式ページから、旅の行程を1枚にまとめました。
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打上げの日に何が起きたか
JAXAは10月20日、ロケットが計画どおり飛行し、探査機を正常に分離して軌道へ投入したと発表しました。翌21日には、太陽電池パドルの展開や三軸姿勢の確立など、探査機が健康に動くための一連の作業が正常に終わり、「初期クリティカル運用フェーズ」を終了したと確認しています。
これで打上げ直後の最大の山は越えました。今後は搭載機器の初期機能確認を進めながら、火星へ向かう「往路巡行」の準備に入ります。
行程表|帰還まで約4年9か月

| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年10月20日 | H3 10号機で打上げ |
| 2026年10月21日 | 探査機の初期運用を終了 |
| 2027年8月ごろ | 火星圏に到着(予定) |
| 火星圏での約3年 | フォボスの観測、探査車の投下、2回の着陸とサンプル採取 |
| 2030年度 | 火星圏を出発 |
| 2031年(7月ごろの予定) | サンプルのカプセルが地球に帰還 |
2026年10月から2031年7月までを数えると、約4年9か月の旅です。うち往路が約10か月、火星圏での滞在が約3年になります。
日付の書き方には差があります。JAXAのプロジェクトページは「2027年度に火星周回軌道投入、2031年度に地球帰還」を想定と書き、報道は「2027年8月」「2031年7月」と月まで伝えています。月は予定として読み、最終的にはJAXAの発表で確かめてください。
なぜフォボスなのか
フォボスは火星の表面から約6,000kmを回る、直径20〜30km程度の小さな天体です。本格的な探査はまだ行われておらず、JAXAは「太陽系で最も重要な未踏峰」と呼んでいるとされます。
謎は、フォボスの生まれ方にあります。火星に天体がぶつかって飛び散った破片が集まったとする「巨大衝突説」と、よその天体が火星の重力に捕まったとする「捕獲説」が争っており、サンプルの分析で決着がつくと期待されています。

探査機は、フランスとドイツが開発した探査車「イデフィックス」を地表へ降ろし、さらに2回の着陸で10g以上の砂や岩石の採取を目指すと伝えられています。はやぶさ、はやぶさ2が弾丸を撃ち込む方式だったのに対し、MMXは筒を地表に打ち込む方式と、ガスを吹き付ける方式を使います。
数字で見る|延期を越えての打上げ
打上げは当初2024年度に予定されていました。H3ロケットの過去の打上げ失敗などの影響で延期され、実際の打上げは2026年10月です。H3は2025年12月の8号機の失敗の後、2026年6月の6号機、8月の9号機、今回の10号機と3機連続で成功しました。
- 打上げ時刻:2026年10月20日4時41分03秒
- 分離まで:約1時間11分13秒
- 総開発費:打上げ費用を含め553億円(報道による)
- 今回のH3の特徴:惑星間空間へ荷物を送る初のミッション
つまり今回の成功は、探査機だけでなくロケットの信頼回復の節目でもあります。
残る課題|本番はこれから
打上げの成功は旅の始まりです。火星圏に着いたあと、小さな衛星への着陸とサンプル採取、そして地球まで無事に持ち帰ることが本番になります。今回の発表は、探査機が正常という確認までで、採取の成否はまだ誰にも分かりません。
これから見守る人は、JAXAのMMX特設サイトと宇宙科学研究所のプロジェクトページで、状況が更新されます。旅の途中経過は、今後も発表のたびにニュースになるでしょう。帰還の日まで、節目ごとに行程表を見比べると、探査の歩みが具体的に見えてきます。
技術に挑む別の挑戦は、琵琶湖を飛んだ人力飛行機の記事でも紹介しています。
この記事は2026年10月21日までの発表をもとにしています。到着・帰還の日付は予定で、変わる場合があります。
出典:JAXA「H3ロケット10号機によるMMXの打上げ結果」(2026年10月20日)、JAXA「MMXの初期クリティカル運用フェーズ終了」(2026年10月21日)、JAXA「火星衛星探査計画(MMX)」、サイエンスポータル(2026年10月21日)、sorae(2026年10月20日)

