最高裁判所第三小法廷は2026年10月23日、国が2013年から3年かけて行った生活保護費(生活扶助)の引き下げを、再び違法と判断しました。秋田・神戸・佐賀・熊本の4訴訟で、引き下げを認めた二審判決を破棄し、減額の決定を取り消しています。審理した裁判官5人の全員一致でした。
2025年6月の最高裁判決に続く判断です。厚生労働省は、すでに差額の追加給付を始めています。いま受給していない人も、2027年7月31日までに申し出れば対象になる場合があります。この記事では、判決の理由と数字、受け取りの手順、残る課題を整理します。
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判決の理由|物価だけで下げたことが問題
争点は「デフレ調整」です。物価の下落に合わせて保護費を下げる調整で、減額の主な理由とされてきました。第三小法廷は、物価の変動率だけを指標にしたことについて、専門家の部会で審議されておらず、合理性を支える専門的な知見があるとは認められないと説明しました。厚生労働大臣の判断には、裁量の逸脱や乱用があったと結論づけています。
判断は2025年の判決を踏襲したものです。一方、利用者側が違法だと訴えた「ゆがみ調整」(一般の低所得世帯との均衡をはかる調整)については、判断を示しませんでした。2025年の判決では、国の賠償責任は認められていません。
これまでの経緯|2013年の引き下げから13年
国は2013年から、生活扶助の基準額を3年間で段階的に引き下げました。食費や光熱費などの生活費にあたる部分です。これに対し、利用者らが減額の取り消しを求めて、全国で訴訟を起こしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引き下げの幅 | 3年間で平均6.5%、最大10% |
| 削減額 | 約670億円 |
| 訴訟 | 全国29地裁で31件 |
| 最初の最高裁判決 | 2025年6月27日 |
| 今回の判決 | 2026年10月23日(4訴訟) |
数字は朝日新聞の報道(2026年10月23日)によります。
2025年6月27日の判決を受けて、厚生労働省は同年8月に専門委員会を設け、11月に報告書がまとまりました。厚生労働省は「深く反省し、広く国民の皆様にお詫び申し上げます」と公表しています。国は、補正予算が2025年12月16日に成立したことを受け、2026年3月1日に基準の特例を適用しました。
受け取り方:いま受給している人・していない人

追加給付は、従来の水準と新しい水準との差額を支給するものです。厚生労働省の方針では、原告かどうかを区別せず、「高さ調整」をマイナス2.49%とする水準で一律に行います。原告には、争いを一度で解決するため、保護費に代わる特別給付金が支給されます。
- いま受給している世帯:2026年3月から、順次追加給付が始まっています。
- 現在は受給していない世帯:2013年8月から2026年3月までに受給していた世帯が対象です。当時保護を受けていた自治体に申し出ます。
- 申出の受付期間:2026年8月1日から2027年7月31日まで。多くの自治体では平日に受け付けています。
- 相談先:追加給付相談センター(厚生労働省委託)、フリーダイヤル0120-179-445。受付は平日9〜17時で、8〜10月は土日祝も受け付けています。
申出の方法や書類は、追加給付相談センターの公式サイトで案内されています。自分が対象か分からない場合も、まず相談センターか当時の自治体に確認できます。
この先|残る課題
追加給付の水準をめぐっては、異論が続いています。日本弁護士連合会は2026年1月、厚生労働省の対応策の撤回と、すべての生活保護利用者への全面的な補償を求める声明を出しました。原告への特別給付金と、一律の追加給付の差をどう受け止めるかは、立場によって分かれています。
また、判決の取り消しが及ぶ範囲と、今後の保護基準の見直しの進め方は、今後の議論を待つことになります。厚生労働省の発表だけでは、すべての対象者への支給がいつ完了するかは分かりません。受給の有無にかかわらず、対象になりうる人は、期限内の申出を忘れないことが大切です。
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よくある質問
申し出ないと追加給付はもらえませんか?
現在受給している世帯には、自治体から順次案内される形で追加給付が始まっています。現在は受給していない世帯は、当時の自治体への申出が必要です。
追加給付は課税されますか?
この記事の出典では確認できませんでした。税や他の制度への影響は、追加給付相談センターか自治体の窓口に確認してください。
この記事は2026年10月23日の最高裁判決の報道と、厚生労働省の公表資料(2025年11月〜2026年7月)をもとにしています。制度の内容は変わることがあるため、最新の案内は公式でご確認ください。
出典:朝日新聞(2026年10月23日)/東京新聞・共同通信(2026年10月23日)/厚生労働省「最高裁判決への対応について」/厚生労働省 報道発表(2026年7月17日)

